こんにちは。体癖はじめの一歩、講師の吉沢です。
本講座『体癖はじめの一歩』は、「体癖論のハードルを下げたい」「いろんな人に体癖を知ってもらいたい」という思いで始めた講座です。精神科医の名越康文先生の元で学ぶ弟子が運営しています。
野口晴哉・著「体癖 <第1巻> <第2巻>」(全生社)を参照元にしています。
そもそも体癖論とは?
「体の癖(くせ)」と書いて体癖(たいへき)と読みます。体癖論というのは、体質や気質、感受性によって人間を分類したもので、元々は野口整体の創始者である野口晴哉先生の研究成果から作られました。そこに名越康文先生の臨床経験により心理学的な要素を加味して10分類に再編成したものをお伝えしています。
皆さんは「性格分類」をご存知でしょうか?この体癖論で扱う感受性は「性格」を内包します。性格というのは、その人が繰り返し選択する行動パターンで、アドラー心理学ではライフスタイルと言います。
感受性というのは性格のように人間の成熟度に応じて変わっていくものではありません。生まれてから死ぬまでその人の体癖は変わらないという前提に立っています。
感受性とは何か、というのを言葉にするのは大変難しいのですが、その人が無意識の中でどうしても選び取ってしまうこと、あるいはどうしても避けてしまうことは感受性によって明らかに特徴が出てくると考えます。
人間というのは千人いれば千通り違います。そこで一人一人出会うたびに新しく知っていくというのは非常に大変です。体癖論を知っていることで、初めて出会った人であっても、その人に逐一質問せずとも、ある程度その人の好むことや嫌うことを把握するヒントになります。
また、体癖論を知らなければ、普段、自分の感受性からしか相手を見ていないことに気づくのは大変難しいことです。
以下、体癖の特徴についてお話していきます。
奇数・偶数の違い
表をみていただくと、1種から10種まで、5列2段になっています。上段と下段、これは奇数と偶数という見方ができます。奇数は内側から外側へエネルギーを鬱散し、偶数は外側から内側へエネルギーを鬱滞させるという特徴があります。
他にも、奇数グループは水分を排出するのが得意で、お肌にはハリがありピンと張っています。偶数グループは水分の排出が苦手で浮腫みやすく、お肌はどこまでも伸びそうな柔らかさや、肌の下に水を湛えたような印象があります。毛細血管が透けて見えるようなお肌です。
奇数偶数の違いには、意思の固まる速さが違うという特徴もあり、研究していくとなかなか面白いと思います。
次に感受性がどの臓器に関連しているのかを見ていきます。それが縦の5列です。
頭脳タイプ 1種・2種
脳によって鬱散鬱滞が行われるのが1種2種です。この人たちは雰囲気が地味で、落ち着いていて知的な人達です。
体癖論では雰囲気の特徴に地味や派手というのが出てくるのですが、地味とは何かが分かるようになるだけでも体癖の弁別のレベルが格段に上がります。
1種は首が太く、天に向かって伸びています。後頭骨が長く、胴が太く、上半身が充実しています。1種は大木が歩いているようなまっすぐな印象を受けます。山高帽とステッキが似合う、品のある英国紳士をイメージしてみてください。上半身の幹のような印象と対比的に、下半身には力が入っておらず、くにゃくにゃと歩いています。ディズニーのグーフィーの歩き方はまさに上下1種の歩き方です。
この上下という言い方は、身体のあり方の特徴を表しています。ほかに、左右、前後、ねじれ、開閉があります。勉強が進んでくると「あの人、左右があるよね」のような玄人ぽい言い回しをすることがあります。(笑)
2種というのは、1種と同様に面長な人が多く、感情と距離を置いています。体型の特徴は首に力がなく、真っ直ぐ立っていますが1種よりも華奢です。上半身に力がなく下半身の方が充実している上虚下実という状態です。神経が過敏で、ルーティンが得意。客観的な人で、他人の話を正確に聴くことができるのは2種だけです。
1種2種の特徴である首の太さの違いは、これによって、脳に送る血流の量に違いが出ます。首が太ければ脳が充血し、1種は観念的になります。一方、脳貧血の状態の2種は、イメージが豊富になります。
感情タイプ 3種・4種
次は、消化器に特徴のある3種4種です。左右とも呼びますが、左右に明らかに体重の偏りがあり、食に特徴が出る、雰囲気はいくつになっても可愛らしい人達です。
3種は楽しくては食べ、嬉しくても食べ、悲しくても食べ、怒ったらもっと食べます。感情と胃袋が結びついているという点に消化器型の特徴が出ます。
3種は自分の中で気分が次々と変わっていき、喜怒哀楽もはっきりしていて、明るい雰囲気を持っています。さっきぷりぷりと怒っていたかと思えば口いっぱいにご飯をほおばって「なんかもういいや」と許してしまっているようなところがあります。
4種は一回に食べる量が3種ほど多くないのですが、実はちょこちょことつまみ食いをしていて食べる総量は案外多いという特徴があります。
体型は対照的で、3種は典型的には丸顔であったり、身体の一部に丸みを帯びたりしていますが、4種は背中が真っ直ぐで、身体もか細い人が多く、内股の肉が削げているような方もいます。
4種は自分の感情に気づくよりも先に他人の感情が入ってきてシンクロします。その相手本人が悲しみに気づくより早く、涙が流れてきてきて『なぜ泣いているかわからない』というのは4種ならではの経験です。
他の性格分類には4種のような人は登場しないのですが、確実に4種はいます。
3種・4種についてはこちらで詳しく解説していますので、併せて読んでみてください。
行動タイプ 5種・6種
次は、呼吸器系行動タイプの5種6種です。
5種は男性も女性も男性的で、女性はボーイッシュです。肩に力が入っており、胸を張って反り返るようなスタイルをしています。スピードに乗って動き続けているようなスポーティーな人です。
着席して物事をじっくり考えるようなタイプではなく、動いている時に頭が働く現場主義で、利害得失の合理性が感受性の中心にあります。
6種は男性も女性も女性的でセクシー、男性は中性的です。顎が細くしゃくっていて、後頭骨が短く小さい丸形で、典型的には横から見ると三日月のように見えます。
肩が内に巻いたやや猫背で体の一番前に恥骨が出ている姿勢です。それを6種以外がやるとだらしなく見えてしまうのに、6種がそのスタイルでいるとかっこよく見えます。肺の弱さが想像力を豊かにし妄想的なストーリーを空想しているのが6種です。
前後型は共にスタイリッシュですが、5種は明朗快活で、6種は影のあるセクシャルな魅力があります。
6種については私の体験談を掲載していますので、ぜひご覧ください。
闘争タイプ 7種・8種
次に、7種8種は体をねじってパワーを出す闘争的な人たちです。泌尿器は「我慢」がキーワードですが、我慢が積極的に出ると、相手を攻撃するということにもなります。
7種は上半身をねじって戦います。8種は下半身をねじって踏ん張ります。7種も8種も情に厚く、弱い者のために戦うこともできます。
7種は勝ちたい人で目力が強く覇気が前面に出ている派手なタイプです。8種はもっと地味で、顔立ちは優しげな人も多く、こつこつと地道に努力し、誰よりも我慢強く尊敬心を持つ人達です。
体型的には7種も8種も胴が太く、丈夫そうな体つきをしています。それぞれ、対人関係では想定するライバルがいますが、いつでも張り合って勝ちたいという7種と決して負けたくないと思う8種では表現が異なってきます。
常に細かく張り合う7種には、強いリーダーシップがあり、大変パワフルで、声も太く豊かで歌が得意という人も多いと思います。
8種は縁の下の力持ちと評するのがぴったりです。誰よりも我慢強いと言いましたが、他の体癖の人が8種を見習って我慢や努力をすると倒れてしまうほどのパワーを持っています。それは身体的な鈍さがあるからできるわけです。
集注タイプ 9種・10種
最後は、開閉型の9種10種です。
開閉というのは骨盤が閉じているか開いているかです。生殖器というと生々しく感じるかもしれませんが、対象へ集注するパワーの強さとお考えください。この人達は非常にパワフルで動物的です。
9種の体型は、骨盤が閉じ、わかりやすい人でいうと、顔のパーツも中心に寄っています。目つきは鋭く、身体に緊張感があって中心に縮んでいくというベクトルがあります。
10種の体型は骨盤が開き、顔のパーツは大作りで役者顔、中心から花が開いたように位置しています。いわゆる開き顔で、笑った時の目は観音様のような形になります。6種と同様に男女ともに女性的で、性的な魅力があるのですが、10種の場合は落ち着いていて母性的です。
骨盤に特徴が出るというのはお尻の形が違うということです。9種は骨盤が閉じているのでお尻が高くなり、出っ尻になります。10種は骨盤が開いていて、面積の広い、薄っぺらいお盆のようなお尻になります。
9種を体型から判別するのは難易度が高いため、鋭い目や、まとっている雰囲気がわかるようになると、弁別ができるようになります。その雰囲気は「集注感」といって、開閉型を語る時には欠かせないキーワードです。
日本人は職人的な気質へのリスペクトがあるので、9種の世界観には比較的理解や憧れがあると思います。しかし、この集注の対象は意識して選択しているのではなく、どうしてもそれしかできないという感覚です。
誤解のないように付け加えると、普段の9種は周りの人に合わせようとします。こだわりは他人に向けて主張されるものではなく、自分の中のどうしようもない集注なのです。
9種のこだわりはつい集注してしまったことについて、10年を一単位とした程度で続きます。一点集中の9種の集注感が、360度全方位に漏れ出しているのが10種です。
10種も開閉型ですので実は非常にパワフルなのですが、一見すると誰にでも愛情を注いでいる仏様のように見えます。頼ってくる人を懐に入れ、自分の子どもにしてしまうのです。
10種についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
最終的な決め手は雰囲気の違い
体癖を診断するときは、体型の特徴を見、感受性の特徴を見て、身近な人であれば質問をすることで絞ることができます。もっとも、最終的な決め手は、繰り返し登場する「雰囲気」です。
無意識のうちに私たちは相手の雰囲気を感じ取っています。できれば直感的にとらえたものを手放さずにしっかりと掴んでください。多くの現代人が無意識に自分の直感を否定するところからスタートしています。体癖論の見方に慣れてくる頃には初めに捉えた雰囲気はかなり的確だったと感じると思います。
体癖論の中で「世話焼き」というのは、ねじれと開閉を指します。もちろん他の体癖であっても、その体癖なりの世話を焼くのですが焼き方が違います。
7種は自分の子分にした人たちを大変可愛がる任侠映画の親分といった感じです。8種は立場の弱い人、弱った人にすっと手を差し伸べます。9種は偏愛といった体で、気にかけた人をいつまでも大事にします。10種は自分を頼ってくる人全員の世話を焼く博愛です。
それぞれが無意識に相手を抱え込んで、世話を最後まで焼いているというのがこの世話焼きの体癖です。
誰かの世話を焼くというのを例に挙げましたが、このように何かひとつの尺度に対して、すべての体癖に特徴があるわけではありません。なぜなら臨床的な経験から成り立っているのが体癖論だからです。
ここまで体癖論の基本を総ざらいしてきました。
講座でお渡しする体癖論の簡易分類表の内容は、診断を繰り返しやってみるうちに、自然に頭に入ってきます。箇条書きにして覚えていくよりも、実際に人間を観察していくことで立体的な人間像として理解が深まります。
体癖論というのはこれまでにない全く新しい体験ですので、文章を読むだけではよくわからないと思いますが、実際に診断したり、講座を受講したりと、稽古を続けていくうちにわかるようになっていくものです。
気楽に質問していただいて、焦らずに気長にやっていただけると嬉しいです。
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基本から丁寧にお伝えしていますので、お気軽にどうぞお越しください。